編集者・新井信(3)

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タイトル力は最大の武器

山下 週刊誌と言えば中吊り広告で、絶対見てしまいますよね。「中吊り」大賞もあるくらいですし。大阪芸術大学は、その「絶対見てしまう」を利用して、大学の広告を週刊誌の中吊りを真似て作ったそうです。

新井 中吊り広告は、編集長が毎週頭をしぼって作ります。とくに週刊誌では、タイトルの上手な編集長の雑誌は売れ行きがいいと言われています。タイトル力は最大の武器なんですよ。

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山下 タイトル力、文章力、取材力、企画力、そして体力。雑誌編集に必要なチカラがよくわかりました。続いて、書籍編集のお話をうかがいたいのですが。

新井 雑誌編集と書籍編集との大きな違いは企画にあると思います。雑誌の場合は、今まさに起こっている話題を追いかけるジャーナリスティックなフットワークが必要です。一方、書籍は普遍的でスパンの長いテーマを考えなければならない。すぐ目の前の話題を本にしても、出来上がったときにはすでに古くなってしまうから、書籍編集者は先が読めなくてはいけないんです。
 それと、雑誌は編集長とスタッフがチームワークでやる仕事で、編集長が社長、部員が社員といった、いわば大企業のサラリーマンみたいなところがある。編集者が部分、部分を担当して全体が出来る。しかし書籍は商店の親父さんのように、仕入れから販売、宣伝まで一人で責任をとらねばならない。一人ひとりが編集長のようなものです。
 編集面から離れれば、雑誌編集と書籍編集との最大の違いは、広告が入るか入らないかでしょう。雑誌にとって、広告料収入は非常に重要な要素です。
 私は若い頃に雑誌編集部にいてから書籍に替わったのですが、うちの社は書籍後進国でした。文芸部門とノンフィクション部門も分かれていなかった。雑誌だけで儲かってたから、本を出すと損する、じっとしていろと言われていたらしい。だから、当時、全盛を誇っていた神吉晴夫さんのカッパブックスを真似て創作出版をやろうと、書き下ろしノンフィクションの出版に手をそめて30数年、いまや雑誌と書籍が両輪といわれるまでに成長しました。ノンフィクションというのは、小説以外、エッセイ、評論も含めて幅広い領域をカバーしています。

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