森詠インタヴュー(3) ?森詠という人間?

藤井 もうひとつ、先生の小説についての質問ですが、作品の中でタバコにただ火を点けたという表現はなくて、マッチだったりジッポーだったりが出てくるのですが、小物に対するこだわりがあるのですか。
先生 あります。タバコを吸う行為自体は何の変哲もないわけでしょ。そうすると、いかに人を表すかという事において小物っていうのは大事だと思うんですよ。酒の種類とかタバコでも何を吸っているのかとか、吸い方もあるし。そういうのを印象的に書き込むことによって、小説を膨らます小物は大事だと考えています。僕が好きなのはジッポー・ナイフ・拳銃・飛行機のプラモとか、自動車のプラモとか割と子どもっぽいものなんですが(笑)。
藤井 なるほど、こうして先生から小説のことについて直接お話を聞くと、とても参考になります。ところで、先生の著書に朝鮮を題材にしたものがありますが、今の朝鮮問題についてどうお考えですか。
先生 朝鮮と日本は、昔から深い関係にあるにもかかわらず深い溝もあるんです。それって面白いよなって僕は思っています。人間って、仲がいい人間以上に仲の悪い人間のほうが面白いんですよね。どうして、朝鮮の人たち・韓国の人たちは今起こっているような事態に対して平気で、いられるんだろうなっていう思いも一方にあるし、向こうからすると日本はひどい連中だったわけですよね。韓国の人たちから見ると日本のほうがヒドイ。でも、日韓併合したりっていうけれども、お互い様の感じもあるなって、決して日本人だけ悪いんじゃないんじゃないかなって思います。過去に朝鮮人をひどい目にあわせたんだから、じゃあ今日本人を拉致してもいいんだという論理にはならないだろう。戦後に生きる我々は過去を大事にするけれど、過去の清算なんて絶対できないと思う。忘れてはいけない事は忘れてはいけないし、それを反省する事は必要だと思います。やっぱりお互いがひどい事をやっているんだし、日本人が特にひどかったのかもしれないけれど、僕自身がやったわけではない。ましてや今の若い人たちがやったわけでもないんだから全部を背負うんではなくて、いいところを伸ばして共通点を見つけて共存していく事が大事だと感じますね。そういう意味で言うと、今回のテポドンとか何やてるんだって思うんですよ。今大事なのは、武力挑発をして戦争を仕掛ける事ではなくて、困っている人民にミサイルを発射するときのお金で食べ物を用意する事ではないのだろうかと思います。日本が朝鮮を侵略するという事はありえないし、そういう力もないですよ。アメリカの力を頼りにしているような日本を警戒する事はないですよ。そうでなくて、一緒に生活していく道を選びませんかという思いはありますね。拉致問題を解決しなければ、日長国交回復しちゃいけないという論議も出ています。気持ちとしては分かるんだけど、50年先をかんがえたら日本と朝鮮は仲良くなっていると思います。そこから逆算して、日本と朝鮮の国交を早めに回復して、そこで拉致問題はどうだったんだと、友好関係が深まった時に全部解決するやり方もあるんじゃないかと思います。矛盾しているんですけど拉致された方々の話なんて聞くと僕なんてムカムカしてきて許せないですね。早く原状回復!という気持ちもします。自分の中に友好論者と反発する人間がいるのでその時によって意見がぶれてしまうといった困った状態にいます。
- 2006年11月07日
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